学芸大学カフェ「コーヒーカロ」にて
先日まで一ヶ月ほどフランスに滞在していましたが、帰国して改めて感じるのは「町にオープンカフェが少ない」ということです。あちらでは昼時や夕方になると、表に出された椅子がほとんど埋まり、人々が熱心に語り合っています。あの開放的な空気感は、どうしても羨ましく感じてしまいます。
「閉じられた空間」と日本の喫茶店文化

日本の、特に東京のような場所では通りが狭く、外に椅子を出すのが難しいという事情もあります。しかし、それ以上に感じるのは、空間の「閉じられた」雰囲気です。
チェーン店や新しくできたオープンカフェであっても、どこか開放感に欠ける気がします。一方で、何十年も続く古いタイプの喫茶店は、茶系の落ち着いた色合いで、静かに過ごすのが一つのパターンになっています。ヨーロッパのカフェには、いわゆる日本の「喫茶店」のような場所はあまり見当たりません。あちらのカフェは食事ができ、おやつも食べられますが、何より「人が集まって話をする場所」としての機能が非常に強いのです。
カフェで「仕事」をするということへの違和感
最近の日本のカフェを見渡すと、モバイル端末を持ち込んで仕事をしている人が非常に多いことに驚きます。客席の三分の一ほどが、仕事に励む人々で占められている光景も珍しくありません。
フランスやヨーロッパの他の国々では、こうした光景はあまり目にしませんでした。もちろんゼロではありませんが、わざわざ外に端末を持ち出して、一心不乱に仕事をしている人は少なかったように思います。コーヒーは仕事の合間に流し込むものではなく、ゆっくりと味わい、対話を楽しむためのもの。そんな文化の違いを、日常の風景から感じずにはいられません。
学芸大学「コーヒーカロ」との縁

私たちがよく訪れる学芸大学のカフェ「コーヒーカロ」さんは、覚えやすくシンプルな名前が印象的なお店です。店主の方に伺うと、名前に深い意味はなく、コーヒーの「加(える)」という字から連想した二文字なのだそうです。
以前は小料理屋かスナックだったというこの場所は、カウンターの作りなどにその名残が感じられます。店主の方がここを選んだのは、日暮里あたりで物件を探していた際に、たまたま友人の縁で紹介されたことがきっかけだったそうです。そうした「偶然の縁」でこの場所が生まれたというお話も、どこか心地よく響きます。
二人の定番:エスプレッソとバナナブレッド

ここに来ると、私たちの注文はだいたい決まっています。私はエスプレッソのダブル、妻の佐喜世はブレンド。そして、あれば必ず頼むのが「バナナブレッド」です。
カロさんのバナナブレッドはとても美味しく、二人で一つを半分ずつ分かち合って食べるのがいつものスタイルです。もしバナナブレッドがない時は、ガトーショコラを。また、この界隈では珍しく、本格的なエスプレッソが飲めるのも私にとって非常にありがたいポイントです。
この歳になると、私たちはカフェでも飲み屋でも、たいてい二人で移動します。どこへ行っても「今日はお一人ですか?」と聞かれるほどですが、まさに「二人で一人前」のような感覚で、この町の「きんりん」を歩き、対話を楽しんでいます。
今回触れたお店・キーワード
- コーヒーカロ (COFFEE CARO):学芸大学にある、対話が心地よいカフェ
- バナナブレッド:木林文庫の二人が愛する定番メニュー
- フランスのカフェ文化:対話と開放感を大切にする日常
- 二人で一人前:木林文庫の行動スタイル