柿の木のある家
壺井栄
『柿の木のある家』は童話作家、壺井栄の短編である。代表作と云われる『二十四の瞳』も木下恵介の映画で見ただけで、壺井の作品をはじめて読んだ。ここに登場する柿が大好物のおじさんの様子はちょっとM君を髣髴させる。みかん、桃、なし、ぶどう、いちじく、あんずと、たくさんの木がこのおじさんの庭では育てられているのに、何故か柿の木が植わっていないのだ。この童話で描かれている子どもたちの心映え、家族や親族とのやりとり、そして風景などは私たちから失われて久しいことのように思われた。「お話」であって、ノスタルジーはないからだ。