木林文庫の冊子を作った際、「タイトルに惹かれて」という章を設けました。木に関わる本の中から『樹のうえで猫がみている』『木々は八月に何をするのか』、武満徹の『樹の鏡、草原の鏡』の三冊を挙げています。今回は木に限らず、私が惹かれてきた本のタイトルについてお話しします。
学芸大学の駅から歩いて5分ほど。私たちの住まいからすぐの場所にある「BIJI」というエスニックレストランで、今日は食事を楽しんでいます。ここは、ベトナム料理を中心とした先駆的なお店で、開店から23年ほど数える地元の名店です。
2024年は、私たち夫婦が営む出版社「エクリ」が30周年、そして自宅の図書室「木林文庫」が10周年を迎える、節目の年でした。この大きな節目と、私たちの結婚50周年を記念して、一ヶ月ほどフランスを旅してきました。エクリの原点とも言えるフランスの地を巡る時間は、これまでの歩みを振り返る大切なひととときとなりました。
出版活動を始めたのが約二十年前になります。しばらくは「木林文庫」という活動をしていたわけではありませんでしたが、何冊目かに長田弘さんの詩と、樹だけを描いている日高理恵子さんの絵を合わせた『空と樹と』という本を作りました。これが、木に関わる本を作っていく最初のきっかけとなりました。
木林文庫は、単に本を閲覧するだけの場所ではなく、時には「木林座」として映画会を開いたり、「木林バー」としてお酒を楽しんだり、あるいは「木林食堂」として料理教室を開いたりと、様々な試みを行ってきました。過去には中東料理のタジンやカレーの教室を開催したこともあり、本をきっかけに人が集まる場としての可能性を広げています。
先日まで一ヶ月ほどフランスに滞在していましたが、帰国して改めて感じるのは「町にオープンカフェが少ない」ということです。あちらでは昼時や夕方になると、表に出された椅子がほとんど埋まり、人々が熱心に語り合っています。あの開放的な空気感は、どうしても羨ましく感じてしまいます。