木

一本の樹が遺したもの

一本の樹が遺したものThe Legacy of Luna

ジュリア・バタフライ・ヒル 現代思潮新社 2000

木登り少女の極めつきが、この本の人です。アメリカには本当に大きな木が多く、長田弘さんも大きな木のことをたくさん書いていますが、この人はレッドウッドという大きな木、樹齢千年とありますが、これを切らせないために自分がその木の上に登って、樹上生活を始めてしまう。それも半端ではなく、二年近く登ったまま降りてこない。彼女はしたたかで、反対派が邪魔をして恐怖を与えて降ろそうとしても諦めず、味方のテレビにこんな邪魔をされていると報道させ、支援者から食料を引き上げてもらう。木の上はものすごく寒いと思うのですが、そこで耐え抜いて結局木を守る。最後は切らせないと約束させて勝利し、降りてきました。こういう人がいたという、面白い本です。

ひとたびはポプラに臥す

宮本輝 講談社 1997

『ひとたびはポプラに臥す』は作家、宮本輝が中国の西安からパキスタンのイスラマバードまでの約七千キロを旅した紀行文。「ポプラは暑さ寒さに強く、旱魃に強いので、ポプラの植樹こそが砂漠の浸食に勝つ方法だという」とあるのを読み、ポプラを札幌やパリにのみ結び付けていた愚かしさに気づかされた。

木

木

幸田文 新潮社 1992

木林文庫を始める前から持っていた本です。買った場所をなぜか覚えていて、学芸大学にかつてあった双葉書店——今は薬屋になってしまいましたが——その棚から手に取りました。面白そうだな、というだけの理由でした。

木の声がきこえる 樹医の診療日記

山野忠彦 講談社 1989

似たタイトルの本『木の声がきこえる 樹医の診療日記』(山野忠彦著)がある。樹木医の資格認定が始まったのが1991年、それより前の1989年の刊行。

木

木

白洲正子 住まいの図書館出版局 1987

住まいの図書館出版局がいろんなシリーズを出していて、その中に『木』がありました。白洲正子さんは、作家としては文章がとっつきにくくて苦手だったんです。編集の仕事をしていた頃、白洲さんの本をやりませんかと声がかかったことがあって、ためらっていたら「ぜひ私にやらせてください」という人が入った。僕には荷が重かったかな、という感じもあります。

樹の鏡、草原の鏡

武満徹 新潮社 1975

『樹の鏡、草原の鏡』(武満徹著)、『樹のうえで猫がみている』(やまだ紫著)『木々は八月に何をするのか』(レーナ・クルーン著/末延弘子訳)の三冊が書名を気に入っている本だ。

森

ロシアの自然誌

ミハイル・プリーシヴィン パピルス 1991

訳者が付けたタイトル、『ロシアの自然誌』の原題は「ロシアの暦」。ロシア関係の本を読むにあたって、ロシアの季節を巡る自然―樹や花や草、動物の生態を知識として持ちたい、という動機からだったが、森と水の詩人、プリーシヴィンがいざなうロシアの大自然に一気に惹きこまれ、ロシアの森の涼気のなかで、酷暑の夏をしばし忘れた。

森のしずく

ミハイル・プリーシヴィン パピルス 1993

ゴーリキーはプリーシヴィンについて「あれはね、生活じゃない、聖者伝そのものなんだ」と言ったという。

森と水と日の照る夜

ミハイル・プリーシヴィン 成文社 1996

処女作『森と水と日の照る夜-北ロシア民俗紀行』(原題「愕かざる鳥たちの国」)を世に送ったことにより、北方は作家、詩人プリーシヴィンの揺籃の地となったのである。

プリーシヴィンの森の手帖

ミハイル・プリーシヴィン 成文社 2009

ロシア文学者、詩人である訳者、太田正一が、プリーシヴィンへのオマージュとして膨大な日記類から編訳した『森の手帖』には、森のロシアと人々の暮らしと生涯共にした詩人のポエジーが凝縮されている。

苗木三〇〇〇万本 いのちの森を生む

宮脇昭 日本放送出版協会 2006

宮脇のキーワードは「その土地本来の木」ということである。「もったいない」のマータイ女史へのアドバイスも、ケニアに元から生えている木を植えなさい、だったという。

アメリカの61の風景

アメリカの61の風景

長田弘 みすず書房 2004

長田弘さんの詩とエッセイは、エクリの『空と樹と』にも使わせていただきました。この本では、アメリカを車で旅する話が出てきます。アパラチアでしょうか、怖いくらいに大きな木が続くところを車で走る場面があって、最後にマルクス・アウレリウスの言葉を思い出す。気に入りの文章なので読んでみます。

ロシアの森

木村浩 小沢書店 1979

ロシア文学者、木村浩の『ロシアの森』は、愛するロシアの風景の中に、きら星のごとき芸術家たちへの崇敬ともいうべき思いが溢れるエッセイ集だ。

林檎

りんご三兄弟の話

りんご三兄弟の話

著者不明

いわゆる普通の本とは違うのですが、木林文庫に遊びに来た女の人が私家版を作っていて、タイトルが面白いのでここに置いてあります。「りんご三兄弟の話」。私家版で百部作って、僕がもらったのは四番目です。うちは子どもが三兄弟ということもあるし、りんごのコーナーにいいなと思って置かせてもらっています。

どんぐり

どんぐり

どんぐりAcorn

オノ・ヨーコ 2013

オノ・ヨーコが『どんぐり』という本を書いています。タイトルもドングリだし表紙もドングリなのですが、読んでみてもドングリの話は一個もない。エッセイです。

桜

桜守のはなし

佐野藤右衛門 講談社 2012

「残りの360日が桜にとってはたいせつなんです」と。『桜守のはなし』(佐野藤右衛門著)の穏やかな語り口に導かれて頁を繰ると、桜の見回りに同行している気持ちになる。小学生から花見酒好きまで幅広い年代に開かれた本で、5日間しか見ない桜のことがよくわかる。

薔薇

巨岩と花びら

巨岩と花びら

舟越保武 1982

ベアトリーチェは恋の象徴のように絵になっていて、一番有名なのがロセッティです。ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティといって、ダンテという名前が付いているんですね。ダンテの肖像画は残っていますが、ベアトリーチェは残っていないので、みんな想像で描くわけです。

薔薇ぐるい

薔薇ぐるい

清岡卓行 1982

四月の末に、うちの新しい本の展示をするので白金へ行った時、途中の道に一輪だけ薔薇が咲きかけていました。それを見て、やっぱり薔薇は綺麗だなと。普通の家の垣根で、それも一輪だけ、ちょっとピンクがかった白い薔薇でした。

ライラック

内界の青い花

内界の青い花

埴谷雄高 1980

埴谷雄高に『内界の青い花』というタイトルのものがあります。この青い花がリラを指しているかは分かりませんが、この本を見た時、青い花と言うとすぐリラを思いました。

オリーブ

オリーブの贈り物

オリーブの贈り物

岡井路子 2019

『オリーブの贈り物』という本には、オリーブに関わる人がいっぱい出てきます。育てている人、オリーブ畑をやっている人、小豆島の人。オリーブを使った料理のレシピもあるし、お店の人も、植物を輸入する人もいる。

猫の木

樹上の猫

樹上の猫

北村太郎 1998

詩人の北村太郎が『樹上の猫』というエッセイ集を出しています。一冊全部が猫の話ではなくて、中の一編が木の上の猫のことを書いている。とても短い話です。

そのほか

カタロニア讃歌

カタロニア讃歌Homage to Catalonia

ジョージ・オーウェル 1938

オーウェルというと僕には『カタロニア讃歌』です。カタルーニャの戦線に義勇軍として参加して、喉を撃たれる。それでも奇跡的に助かる。

ミレナへの手紙

ミレナへの手紙Briefe an Milena

フランツ・カフカ 1952

カフカは日記だけでなく手紙もたくさん書く人でした。後半生の恋人になるミレナに膨大な量の手紙を書いていて、全集の一冊に入るくらいの分量です。その中に「あなたの夢を見ました」という記述が何回も出てきます。

日記

日記

フランツ・カフカ 新潮社

日記の中に夢の話もたくさんあります。日付がはっきりしていて、1913年11月24日——革命前ですね——に「眠っているうちに夢を見失う」という記述がある。夢を見失うという表現がカフカらしい。

より道・わき道・散歩道

より道・わき道・散歩道

河合隼雄 創元社 2002

河合隼雄先生のエッセイ集で、この中に『風と木の詩』について書かれています。「漫画世代に属さない人間として、私は漫画を全く見なかった」から始まる文章です。

記憶のつくり方

記憶のつくり方

長田弘 1998

長田弘さんは珈琲も好きで、珈琲について良い文章があります。『記憶のつくり方』というエッセイ集の中に「ルクセンブルクの珈琲茶碗」というのがあって、このタイトルが良いんだよね。

山の家 クヌルプ

山の家 クヌルプHütte Knulp

著者不明 エクリ 2017

『山の家 クヌルプ』の舞台になった霧ヶ峰のクヌルプ・ヒュッテに来ています。今は夜の八時過ぎですが、ストーブがないと寒くてしょうがない。

その他の随筆の本

  •  日本の名随筆 14 夢作品社
  •  風と樹木と鳥の声新潮社 1986
  • P・イシャク密林の狩猟者彩流社
  • クリストファー・ミルンクマのプーさんと魔法の森The Enchanted Places岩波書店 1977
  • チャルカりんごの木の村でヴィレッジブックス 2006
  • フランツ・カフカ夢・アフォリズム・詩平凡社 1996
  • ヘルマン・ヘッセ庭仕事の愉しみFreude am Garten草思社
  • ローベルト・ムージルぼくの遺稿集晶文社
  • 安岡章太郎サルが木から下りるとき朝日新聞社 1971
  • 稲本正木の聲小学館 1997
  • 宇江敏勝樹木と生きる新宿書房 1995
  • 宇佐見英治石の夢筑摩書房 1994
  • 吉行あぐり梅桃が実るとき文園社 1985
  • 宮迫千鶴魔女の森へ海鳥社
  • 古井由吉聖なるものを訪ねてホーム社 2005
  • 古井由吉裸々虫記講談社 1986
  • 香原志勢木のぼりの人類学リヨン社 1994
  • 高橋悠治カフカ/夜の時晶文社
  • 高野秀行西南シルクロードは密林に消える講談社
  • 佐野洋子アカシアからたち麦畑文化出版局 1983
  • 舟越桂言葉の降る森角川書店 1998
  • 小高達雄百人一樹書房樹 1983
  • 須賀敦子須賀敦子全集 第7巻河出文庫
  • 西岡常一、小川三夫、塩野米松木のいのち木のこころ草思社 1993
  • 前登志夫樹下三界角川書店 1986
  • 前登志夫森の時間冨山房インターナショナル
  • 前登志夫木々の声角川書店 1996
  • 大原富枝風を聴く木中央公論社 1992
  • 中井久夫樹をみつめてみすず書房 2006
  • 長田弘アメリカの心の歌岩波書店 1996
  • 長田弘サラダの日々角川書店 1976
  • 長田弘すべてきみに宛てた手紙晶文社 2001
  • 長田弘われらの星からの贈物みすず書房 1994
  • 長田弘感受性の領分岩波書店 1993
  • 長田弘見よ、旅人よ講談社 1975
  • 長田弘私の好きな孤独潮出版社 1999
  • 長田弘詩は友人を数える方法講談社 1993
  • 長田弘詩人の紙碑朝日新聞社 1996
  • 長田弘詩人の積木箱大和書房 1974
  • 長田弘小道の収集講談社 1995
  • 長田弘人生の特別な一瞬晶文社 2005
  • 長田弘知恵の悲しみの時代みすず書房 2006
  • 長田弘読むことは旅をすること平凡社 2008
  • 長田弘読書からはじまる日本放送出版協会 2001
  • 長田弘読書のデモクラシー岩波書店 1992
  • 長田弘猫がゆく晶文社 1991
  • 長田弘風のある生活講談社 1984
  • 長田弘本という不思議みすず書房 1999
  • 坪内稔典柿日和岩波書店 2012
  • 島尾敏雄夢日記河出書房新社 1978
  • 二階堂太郎植物園で樹に登る築地書館 2017
  • 扉野良人ボマルツォのどんぐり晶文社 2008
  • 俵万智りんごの涙文藝春秋 1989
  • 片山良子明日も林檎の樹の下で暮しの手帖社 1999
  • 北原きよ子わが心のカツラの木岩波書店 2013
  • 和順高雄岩手県ポラン町字七つ森へ偕成社 1995