怖い森というと、まずダンテの『神曲』の最初の文章を思い出します。地獄篇第一歌。「私たちの人生行路のなかば頃、正しい道をふみはずした私は一つの暗闇の森のなかにいた」。暗闇の森なんですね。「ああ、それを話すのはなんと難しいことか。人手が入ったことのないひどく荒れた森のさまは、思い出すだに恐怖が胸に蘇えってくるようだ。その森の難渋なことは、ほとんど死にも近い」——そう始まる。
読んだのは高校生の頃です。世界古典文学全集で、なぜか高校の時にこれとかホメーロスとかを一生懸命読んでいました。註がものすごく付いていて、各ページにびっしり入っている。当時はほとんど知識がないので、註を読んでいるだけでどんどんのめり込みました。
地獄篇から天上界まであるけれど、読んでいて一番面白くて迫力があるのはやっぱり地獄篇です。だんだんまともな世界に入ると、逆にあまり面白くなくなってしまう。
木林文庫チャンネル「森の妖怪」 1:26 / 3:53 / 3:25