リトル・フォレスト

Little Forest

五十嵐大介 講談社 ワイドKCアフタヌーン

五十嵐大介『リトル・フォレスト』1・2 講談社ワイドKCアフタヌーン

『リトル・フォレスト』は二巻本です。作中では小森——小さな森ですね——という村をモデルに設定していますが、本当の名前は違うのでしょう。その場所の写真が中に出てきます。

若い女性が東京に行って、夢破れたりして故郷に戻り、元住んでいた家で野菜を作ったり漬物をつけたりお餅をついたりする、日々の食生活をコミックにしたものです。作るプロセスだけでなく写真も出てくるので、実際の村だと思います。食の漫画はいろいろありますが、実際に作るところと実際の場所が描かれているのは珍しい。

五十嵐大介はこの後、動物や植物、人間と動物が一体化するというか、侵食してくるようなコミックをたくさん描いています。この作品もそうですが、村の生活は動物も虫も植物もほぼ隣り合って暮らしている。

描かれたのは二十年ほど前でしょうか。熊が出てきて家のすぐ近くの木々が折られてしまう場面がありますが、まだ熊の被害がそんなになかった頃で、「熊もお腹が空いてるんだね」とみんなで話しているシーンが出てきます。今とは随分違って、熊に対しても牧歌的だった時代です。人が死んでしまうような事件が起きるのは、ここ数年ですよね。

木林文庫チャンネル「樹と人を描いた名作漫画」