3冊
以前、気に入っている本のタイトルとして「イアラ」を挙げました。奈良時代、大仏の鋳造で人柱にされた女性が、銅を流されて亡くなる寸前に「イアラ」と聞こえる叫び声をあげる。それを耳にした恋人の男が、あれは何の意味だったのかと探し続けるうちに、永遠の生命を持ってしまう話です。
高齢の老人と一緒に住んでいる女の子の話で、老人が弱っていき、最期に遺言のように残す言葉があります。——にんげんはこれからうまれてしぬことをくりかえしてなにになるのでせうか。ひとはむらさきをさがしているのでせうが、いつでもそのかはりをみつけ、まんぞくしてしんでいきます。だからどんなにいっしょうけんめいになっても、どこかにさみしさがのこるのかもしれません。
「椿の木の下で」という一編があるので、椿の本に入れました。猫が主人公で、絵としては猫耳をつけた小さな女の子ですが、物語は猫の話です。可愛がられている小さな猫のところへ、主人が捨て猫を拾ってくる。その子がちゃっかりしていて、飼い主が来るとへたっとして「私だめ」という姿を見せ、いないときにはチビにちょっかいを出して虐める。訴えると「あんた嫉妬してるんでしょ」と言われてしまう。巧い描き方です。