木

羊の木

羊の木

いがらしみきお 講談社 2011

木に生るもので怖い話もあります。その筆頭が「羊の木」です。ヨーロッパが大航海時代でいろいろな所に進出していた頃、東南アジアに出かけていった宣教師が、自分の訪ねた地方には羊が生る木があると記録に書くんですね。これは実は綿の木なのですが、イメージが分からないものだから、綿を採る羊が木に生っている絵を描いた。それがどんどん広がって、東洋には羊の生る木があるという話になりました。

JACARANDA

JACARANDA

しりあがり寿 青林工藝舎

木と林に関わるコミックの一冊、『JACARANDA』。ジャカランダはかなり旺盛な繁殖力のある木です。しりあがり寿さんという風変わりな作風の作家で、今は美大の学長になった方です。

旅人の樹

旅人の樹

今市子 2011

木と林に関わるコミックの一冊、『旅人の樹』。これも良いタイトルだと思います。同じく林の字が入るものでは、塩森恵子さんの『希林館通り』——希望の希と林で希林館、アパートか何かの話だったと思います——もあります。

陽だまりの樹

陽だまりの樹

手塚治虫 小学館 1983

手塚治虫の『陽だまりの樹』。文庫本のカバーは当時撮られた写真です。これは勝海舟で、咸臨丸でアメリカに行った1860年——万延元年に撮られた写真だそうです。これは福沢諭吉で、遣欧使節でヨーロッパに行った時にパリで撮られたもの。全部で八巻か九巻あって、幕末から明治初期にかけての写真が使われています。

西遊妖猿伝

西遊妖猿伝

諸星大二郎 1984

ワクワクの木と似たような物語が『西遊記』にもあります。旅の途中に子どもの生っている木があって、その実はとても不思議な実です。中国ですから単位がものすごく長くて、三千年かけて花が咲き、次の三千年で実が生って、熟するのにまた三千年かかる。約一万年かけてようやく食べられる実になるのですが、ひとたび食べると四万六千年ほど長生きするという実です。

夢の木の下で

夢の木の下で

諸星大二郎 1998

好きなコミック作家、諸星大二郎の『夢の木の下で』です。彼は『西遊妖猿伝』という西遊記をもとにしたコミックを今も連載しています。

百日紅

百日紅

杉浦日向子 1985

杉浦日向子さんの『百日紅』。分厚い三巻本です。葛飾北斎とその娘のお栄——筆名は応為と名乗っています——の親子の話で、そこに高名な浮世絵師の英泉を加えた三人の物語になっています。

すいーん星旅行記

大島弓子 徳間書店 1980

前回の木登りの本は、嫉妬に狂った男の話ばかりで重かったので、今回はコミックから始めます。大島弓子さんの『すいーん星旅行記』の中に木登りの話があって、私にとっても好きな場面です。——私は高い木に登りました。どんどん下の世界が変わって見えます。降りる時になって、木登りは降りる時の方が百倍難しいことが分かりました。足も手も震えました。あの男の子が登ってきて順に降り方を見せてくれなかったら、私は一生あの木の上にいなければならなかったでしょう。——これは体験的にとてもよく分かります。降りるのは確かに怖いし、大変なのです。

夏のおわりのト短調

夏のおわりのト短調

大島弓子 白泉社 1995

大島弓子さんは木登り少女だったらしく、「夏のおわりのト短調」という短い話にこう書いています。——木は子どもを高みへ高みへと登らせる崇高な魂があると思う。——崇高というのはすごい言葉ですが、やはりひとたび登り始めると、どんどん高く登りたくなるのです。

風と木の詩

風と木の詩

竹宮惠子 小学館 1977

竹宮惠子さんの『風と木の詩』。これを挙げたのは、ずっと広報誌で対談を担当していただいた河合隼雄先生が、このコミックについて書いているからです。

山へ行く

山へ行くANYWHERE BUT HERE

萩尾望都 2007

木林文庫の一角に二本の悲しい木が立っている。一本は柳、そしてもう一本は栃の木である。

森

ピアノの森

ピアノの森

一色まこと 1999

木林文庫には木と林に関わるコミックもたくさんあります。『ピアノの森』は、テレビの放送もあったのでご存じの方も多いでしょう。

リトル・フォレスト

リトル・フォレストLittle Forest

五十嵐大介 講談社 2004

『リトル・フォレスト』は二巻本です。作中では小森——小さな森ですね——という村をモデルに設定していますが、本当の名前は違うのでしょう。その場所の写真が中に出てきます。

水木しげるの遠野物語

水木しげるの遠野物語

水木しげる 2010

水木しげるが遠野物語を描いていて、いくつものエピソードがあります。その中の、森で不思議に出会う話が気に入っています。ちょうど百話目です。

林檎

千年万年りんごの子

千年万年りんごの子

著者不明 2012

林檎のコミックもあります。『千年万年りんごの子』というタイトルで、三巻本です。出だしが「自分は昭和二十三年に生まれた」というところから始まるのですが、ちょうど私も同じく昭和二十三年の生まれなので、それ自体にも惹かれました。

ポム・プリゾニエール

ポム・プリゾニエール

著者不明 2014

ポム・プリゾニエールというタイトルのコミックが一冊あります。タイトルだけがポム・プリゾニエールで、中身はそれらしいお酒を飲んだ絵は入っていますが、瓶は全然出てこない。林檎を齧っている絵ですけどね。

椿

綿の国星

綿の国星

大島弓子 白泉社

「椿の木の下で」という一編があるので、椿の本に入れました。猫が主人公で、絵としては猫耳をつけた小さな女の子ですが、物語は猫の話です。可愛がられている小さな猫のところへ、主人が捨て猫を拾ってくる。その子がちゃっかりしていて、飼い主が来るとへたっとして「私だめ」という姿を見せ、いないときにはチビにちょっかいを出して虐める。訴えると「あんた嫉妬してるんでしょ」と言われてしまう。巧い描き方です。

ライラック

ゴールデンライラック

ゴールデンライラック

萩尾望都 1982

恋人たちの逢瀬とライラックの花房が分かちがたく結ばれている作品に、萩尾望都のコミック『ゴールデンライラック』がある。といっても、はじめの出会いはまだ幼い二人だ。

猫の木

アタゴオルは猫の森

アタゴオルは猫の森

ますむらひろし 1978

ますむらひろしさんの『アタゴオルは猫の森』は漫画です。この方はとても猫好きで、なおかつ宮沢賢治の作品がとても好きな方です。

樹のうえで猫がみている

樹のうえで猫がみている

やまだ紫 1990

『樹のうえで猫がみている』は、やまだ紫という漫画家の詩画集です。木林文庫について書いた冊子の中でも、自分の気に入ったタイトル——タイトルが面白い本として、この一冊を挙げています。

銀河鉄道の夜(映画パンフレット)

銀河鉄道の夜(映画パンフレット)

著者不明 1985

ますむらひろしさんは宮沢賢治が好きで、猫がいつも作品に出てくるので、『銀河鉄道の夜』をジョバンニもカンパネルラも猫にして描いた漫画があります。それを元にして作られたのが、この『銀河鉄道の夜』という映画です。

そのほか

古本屋台

古本屋台

QBB 集英社 2018

コミックの中で語られている本について。一冊目は『古本屋台』。設定がとても風変わりで、普通は酒やラーメンの屋台が夜に出てくるわけですが、これは古本を並べて屋台を引っ張っている親父さんの話です。

リバーエンド・カフェ

リバーエンド・カフェ

たなか亜希夫 2018

作者のたなか亜希夫さんは学芸大学に住んでいると言われていて、「きんりん」で是非インタビューしたいねと言っているんだけれど、叶わなくてね。

大川端探偵社

たなか亜希夫

たなか亜希夫さんにはもうひとつ、川沿いの探偵事務所を描いたコミック『大川端探偵社』があります。こちらも川の端——リバーエンドです。テレビドラマにもなっていて、僕らが好きなオダギリジョーが石橋蓮司と出ている番組の原作を描いた人です。良い作家です。

本を読む兄、読まぬ兄

本を読む兄、読まぬ兄

吉野朔実 本の雑誌社 2007

吉野朔実さん——若くして亡くなってしまった漫画家です——が、何人かの本読みの仲間と集まって、いろんなテーマで話をする。好きな本、読み切れなかった本、読んだ中で一番の長編は何か、といった話です。友達の心理学者や編集者、それに彼女は漫画家なのでアシスタントの女の子たちも加わって、一冊ずつ話をする。

草子ブックガイド

草子ブックガイド

玉川重機 講談社 2011

玉川重機さんの『草子ブックガイド』です。草の子と書いて草子(そうこ)。作者の名前は、親のやっていた会社が玉川重機という会社だったので、跡は継がないけれどその名前を使わせてもらって、同じ字で玉川シゲキと読ませているそうです。

死者の書

死者の書

近藤ようこ 2015

近藤ようこは『夢十夜』のほかに『死者の書』も漫画化していて、どちらも面白い、読み甲斐のある漫画作品になっています。

夢十夜

夢十夜

近藤ようこ 岩波書店 2017

『夢十夜』を漫画に描いた人もいます。近藤ようこです。「第三夜」の、おれはひとごろしであったんだ、というところを描く絵も、その恐ろしさが十分に発揮されている。

紫の伝説

紫の伝説

古川益三 1981

高齢の老人と一緒に住んでいる女の子の話で、老人が弱っていき、最期に遺言のように残す言葉があります。——にんげんはこれからうまれてしぬことをくりかえしてなにになるのでせうか。ひとはむらさきをさがしているのでせうが、いつでもそのかはりをみつけ、まんぞくしてしんでいきます。だからどんなにいっしょうけんめいになっても、どこかにさみしさがのこるのかもしれません。

トゥー・エスプレッソ

トゥー・エスプレッソ2 Espressos

高浜寛 2010

珈琲のコミックをもう一冊。フランスのコミック——といってもフランスのコミックというわけではないんだけれども、フランスに住んでいる漫画家が描けなくなって悩んで、昔付き合っていた女の人が日本人なので、その人を訪ねて、描けるきっかけを掴もうと日本に来る。そこで珈琲を淹れる仕事をするようになるという話です。

黄色い本

高野文子 2002

河合隼雄さんとファーブルを翻訳されているフランス文学者の奥本大三郎さんに、広報誌で対談していただいたことがあります。名古屋での対談の帰り、新幹線でワインを飲みながら、奥本先生が「河合さんはコミックを読まないけど僕は結構読むんだよね」と好きなコミックの話をされた。

イアラ

イアラ

楳図かずお 1974

気に入っている本のタイトルとして「イアラ」を挙げたことがあります。奈良時代、大仏の鋳造で人柱にされた女性が、銅を流されて亡くなる寸前に「イアラ」と聞こえる叫び声をあげる。それを耳にした恋人の男が、あれは何の意味だったのかと探し続けるうちに、永遠の生命を持ってしまう話です。

アンダーカレント

豊田徹也 2005

『アンダーカレント』は豊田徹也さんの一作目です。凄く寡作な作家で、僕が知っている限り二作しかなく、二作目が珈琲好きの人たちを描いた『珈琲、時間』。その帯に「アンダーカレントから四年」とあるくらい間が空いていて、まるで質の違う話です。

珈琲、時間

珈琲、時間

豊田徹也 2009

珈琲のコミックが何冊かあって、なおかつどれも面白い。文字通り『珈琲、時間』という、珈琲好きの人たちのエピソードを連ねたものです。

その他の漫画の本

  • 塩森恵子希林館通り集英社
  • 吉野朔実お父さんは時代小説が大好き本の雑誌社
  • 吉野朔実お母さんは「赤毛のアン」が大好き本の雑誌社
  • 吉野朔実犬は本よりも電信柱が好き本の雑誌社
  • 近藤ようこアカシアの道青林工藝舎 2000
  • 志村志保子林檎の木を植える集英社 2013
  • 深谷陽密林少年集英社 2006