「椿の木の下で」という一編があるので、椿の本に入れました。猫が主人公で、絵としては猫耳をつけた小さな女の子ですが、物語は猫の話です。可愛がられている小さな猫のところへ、主人が捨て猫を拾ってくる。その子がちゃっかりしていて、飼い主が来るとへたっとして「私だめ」という姿を見せ、いないときにはチビにちょっかいを出して虐める。訴えると「あんた嫉妬してるんでしょ」と言われてしまう。巧い描き方です。
最後に、貰われていった猫を思ってチビが述懐する場面があります。——もう一つ見たあたしの夢というは、緑の稲穂の傍の椿の木の下で、太って大きくなった未来の点茶の夢だった。——夢の話になっているところがお洒落なのです。
