上野の西洋美術館でチュルリョーニスを見た。妻はかなり以前から作品を知っていたそうだが、私はこの展覧会を見た次男から初めてその名を聞いた。
20世紀前半で短い生涯を終えたリトアニアの画家である。彼は音楽家でもあったそうで、会場には彼の作曲したラフマニノフを思わせる曲が流れていた。
殆どテンペラを画材とした絵は他の画家と似た所が一切ない、独特な色彩そして題材である。テンペラは油性の強い画材だと思っていたが、珪藻土を思わせる黄褐色や色素の薄い緑や灰白色の画面は、静けさに浸されている。
不安はないけれど、異郷の地で言葉を喪ってしまったように感じられた。

