フランツ・カフカ

一番の長編で、未完だとも言われる『城』があります。測量のために城のある町にやってくるのですが、どうしても城に入ることができない。村の人たちの記述で「城に住んでいる人たちはよく眠ってばかりいます、長い間眠っている人たちなんです」というのがあって、考えようによっては、城の中に住んでいる人の夢が村の人たちの生活なんじゃないかと思うくらい、村の生活も奇妙です。彼らが夢から覚めないから城の中に入れないんだ、という構造かなと思ったりします。

測量士には二人の助っ人がいて、そっくりで名前も似ている。アルトゥールとイェレミーアス。『不思議の国のアリス』に出てくる卵のような二人、トゥイードルディーとトゥイードルダムを思い出させます。測量士にとっては役に立たない二人で、「お前らなんで今頃来たんだ」というやり取りをしている。

最初に読んだ時は、電話ができる前の十九世紀の話だとばかり思い込んでいて、途中で電話が通じないという話が出てきてびっくりしました。電話をかけると城で絶えずブーンブーンという不思議な雑音が聞こえてくるという表現があって、これを読んだ時に夢野久作『ドグラ・マグラ』の最初のほうを思い出しました。

木林文庫チャンネル「カフカと夢」

この本と結びついている本

鏡の国のアリスルイス・キャロル

カフカ『城』に出てくるそっくりな二人の助っ人が、トゥイードルディーとトゥイードルダムを思い出させる、と館長は話している