遠野物語

柳田國男 漫画 水木しげる

日本の森の怖い話というと『遠野物語』です。幽霊が出てくるというより、暗い森を歩いているとなんとなくもののけが憑いたような気がする、不思議な目に遭う、というのが中心です。水木しげるが遠野物語を描いていて、その中の一つが気に入っています。

ちょうど百話目です。吉里吉里村から帰る村人が、夜更けに歩いていると、ある男の奥さんが急に森の中に現れる。男はこんなところに自分の嫁がいるわけがない、これは妖怪の類だと言って殺してしまう。殺せば元の姿に戻るだろうとみんなで待つけれど、いつまでも奥さんの姿のままなんです。

心配になって家に帰ると奥さんがいて、「あんた何してんの」と言う。「私ね、今夢を見てたの。森の中を歩いていると誰かに殺される夢だった」と。慌てて森に引き返すと、殺したのは狐だった。狐の妖怪が化けていたという。狐は人の夢の中に入るんだな、というオチです。『不思議の国のアリス』の王様の夢のようで、話としては好みですね。

木林文庫チャンネル「森の妖怪」 26:37 / 27:30 / 27:59