ミレナへの手紙

フランツ・カフカ

カフカ『ミレナへの手紙』

カフカは日記だけでなく手紙もたくさん書く人でした。後半生の恋人になるミレナに膨大な量の手紙を書いていて、全集の一冊に入るくらいの分量です。その中に「あなたの夢を見ました」という記述が何回も出てきます。

「昨日はあなたの夢を見ました。細かいことはもうほとんど覚えていません。ただ私たちが終始相手になり代わり、私があなたになったり、あなたが私になったりしていた、そのことだけは覚えています。最後にあなたに火がつくことになりました。私は布切れで火を消し止めることを思い出し、古い上着をつかんでそれであなたを叩きました。ところがまた変身が始まって、あなたはもう全然そこにおらず、燃えているのはこの私であり、上着で叩いているのもこの私だ、といった酷いことになりました」。

あとがきにカフカの作品の作り方について示唆のある文章があります。「私の考えではカフカは作品を、少なくともその萌芽においては夢見たのである」。書く前にすでに夢見ているという構造だけでなく、作品全体を夢見たという観点です。「言い換えればカフカの天分は、独特な夢のリアリズム、独特な夢の密度ないしは夢の論理において、あるいは全体の構成とか構造においてさえ、その十全の機能を本質的には一種の夢の中で果たしたのである」。

木林文庫チャンネル「カフカと夢」