バオバブの記憶

本橋成一 平凡社 2009

村の生活にカメラを向ければ、そこにバオバブがある村だ。乾いた地に生えるこの樹は65パーセントが水分だというから、バオバブは大きな水樽なのだ。ある一本は近寄りがたい神木であり、ある木の洞は吟遊詩人の墓、象の足を何本も束ねたような巨木は日陰であり遊び場でもある。1000年を生きるとも云われるバオバブだが、最近では若木が育っていないのだという。この村の樹齢400年くらいの樹が天寿まで生き通したとき、人類はそこにいるのだろうか。青い星を破裂させる胚珠を潜ませた悪い種は。

館長のコラム「バオバブは夢の樹」より