20冊
この本になぜ付箋を付けたかというと、Beech——ブナです。エクリで出した『木の戦い』の一番最初が The tops of the beech trees で始まるので、あっと思って。
C.W.ニコルさんは黒姫に長く住んで日本語も達者でしたが、元々はウェールズの方です。ニコルさんと宮崎駿さんがなぜ対談しているかというと、ニコルさんは黒姫に自分で土地を購入してそこを守っていく、宮崎さんはトトロの森。二人とも樹木が失われていくことへの怒りがあり、悲しみがあり、危機感を持っている。それを共有して、自分たちも立ち上がらなくてはいけないし、みんなも共有してくれ、という結構熱い対談です。
フランス語で Saera et la botaniste という小さなタイトルが添えてあります。サエラは主人公の女の子の名前ですが、フランス語で çà et là と書くと「あちこち」という意味になる。舞台はすべてフランス、パリのジャルダン・デ・プラント(植物園)の中の話です。
はらだたけひでさんは、ピロスマニをみんなに知らせることにずっと貢献してきた方です。岩波での映画公開などにも関わっていました。ピロスマニに捧げる詩に絵をつけた、素敵な本です。
フランス語で木は Arbre。これも一字です。子どものための本らしく、一種のしかけ絵本になっています。種から芽が出て、大きな木になって、実ができる。マロニエでしょうか——栗のように見えますが、マロン(marron)でも食べられないほうです。木の一生、木の成長がこうやって展開していく。季節によって色が変わり、鳥がついばんでいく。
これはちょっと変わり種で、面白い装丁なので木林文庫の玄関に置いてあります。ムナーリはイタリア人ですが、「木」というこの漢字に出会ったとき、こんなにシンプルな形で木を表していて、見れば木だと分かることにとても感心したそうです。彼はデザイナーですから、そこからいろんなデザインの発想を考えていった。
ロシア語で木は дерево。副題が「スラブの建築彫刻における木」で、木造建築や木彫、木のスプーンといったものが論じられています。木の教会、木で作った民芸品、室内の調度。昔の揺り籠から棺桶まで、生活必需品をすべて木で作っていたということですね。
作っているのはエルメス財団です。「知ること 作ること」という総タイトルのシリーズで、これが第一冊目。この後に『土』が出ています。原題は le bois、つまり「木」ですね。
文が木島始さん、絵が佐藤忠良さん。佐藤忠良さんは、佐藤オリエさんのお父さんです。
木林文庫を始める前から持っていた本です。買った場所をなぜか覚えていて、学芸大学にかつてあった双葉書店——今は薬屋になってしまいましたが——その棚から手に取りました。面白そうだな、というだけの理由でした。
これも結構昔から持っていました。『民衆生活の日本史』というシリーズの中に、五行——木火土金水——の最初の「木(もく)」の巻があったので手に入れたものです。民俗学の方面から木について書いている。私はそういう歴史的な知識があまりないので、面白く読みました。
住まいの図書館出版局がいろんなシリーズを出していて、その中に『木』がありました。白洲正子さんは、作家としては文章がとっつきにくくて苦手だったんです。編集の仕事をしていた頃、白洲さんの本をやりませんかと声がかかったことがあって、ためらっていたら「ぜひ私にやらせてください」という人が入った。僕には荷が重かったかな、という感じもあります。
わりと最近入ってきた本です。著者の鈴木さんは専門が哲学の研究で、それもウィトゲンシュタインとキェルケゴール。私はどちらも難しすぎて退散してしまいました。その専門家が、哲学については全然書かずに小説を書いている。総題が『木』で、「杉」と「ブナ」という小説が入っています。
2013年にエクリから出版した本です。ウェールズ・ケルトの伝説の吟遊詩人タリエシンの詩で、六世紀頃、イギリスではアーサー王が活躍したと言われる年代のものです。アーサー王が亡くなったのが532年とか542年と言われていて、タリエシンは円卓の騎士には名前がありませんが、アーサー王に付き従ったと言われています。当時のケルトは文字を持たなかったとされるので、口承叙事詩です。
世界のいろんな種類の木についての写真集です。地肌に近寄ってみたり、いろんな育ち方をしている木だったり。結構専門的だと思います。自然なのか細工なのかよく分からないものもある。木全般についての本ですね。
木林文庫は木の本を集めていますが、木林文庫を始める前から持っていた木に関わる絵本は、自分で買ったものとしては1冊しかありませんでした。それがヤーノシュの「おばけリンゴ」です。子どもたちに読んであげるために買ったもので、みんな好きですね。
大きな木というタイトルの本は「木」一字と同じくらいあるのですが、印象に残っていて今でも時々読み返すのがこの一冊です。絵も文も佐野洋子さん。家に大きな木があるおじさんが、何にでも文句をつける。鳥が来るとうるさくて朝寝られない、覚えていろよ。洗濯物が乾かない、覚えていろよ。ハンモックで昼寝すると毛虫が落ちてくる、覚えていろよ。とうとう切り倒してしまいます。
グアテマラの作家アストゥリアスの伝説集です。「火山の伝説」という話の書き出しがこうです。——六人の男が「樹の国」に住みついた。風に運ばれてきた三人と、川を流れてきた三人である。そのうち姿が見えたのは三人だけで、あとの三人は水のなかに隠れており、風に運ばれてきた男たちが山から水を飲みに降りてきたときにのみ、彼らの姿を見たのである。——「六人の男が樹の国に住みついた」。いい書き出しだと思います。
木林文庫にある本です。この中に The Battle of the Trees という言葉が出てきて、それに出会った時、妻と一緒に大喜びして「これはエクリの本だね」と言いました。エクリ『木の戦い』はここから始まっています。
これは加藤登紀子さんが訳しています。さきほどの「百万本のバラ」とは別ですが、加藤さんが作曲もしているようです。エリック・バテュはフランス生まれですが、もとは違う国の方のようですね。