大きな木というタイトルの本は「木」一字と同じくらいあるのですが、印象に残っていて今でも時々読み返すのがこの一冊です。絵も文も佐野洋子さん。家に大きな木があるおじさんが、何にでも文句をつける。鳥が来るとうるさくて朝寝られない、覚えていろよ。洗濯物が乾かない、覚えていろよ。ハンモックで昼寝すると毛虫が落ちてくる、覚えていろよ。とうとう切り倒してしまいます。
清々したと一瞬思うのですが、木がないと鳥の声がないので朝が来たことが分からない。日陰がないのでコーヒーがゆっくり飲めない。落ち葉がないので焼き芋も焼けない。郵便屋さんも、大きな木を目印にしていたので家が分からなくなって困る。
ここからが佐野洋子さんらしいところです。雪が溶け始めました。おじさんは玄関に座って、大きな木の切り株を見て、ふーと言いました。それからすうとため息をつきました。しばらくしてくうと言いました。それからクククと言って、切り株の上に倒れて大きな声で泣きました。おじさんは切り株を撫でて泣き続けました。いつまでも泣き続けました——「100万回生きたねこ」で猫がうわーと泣いたのと、同じ書き方です。
泣き止んでしばらくすると、切り株から小さな芽が出てきました。水を一生懸命あげて育てて、ちゃんと木になりました。新しい木はぐんぐん伸びていって、鳥も来るようになりました。話も絵も好きな本です。
