一番古い絵本の記憶が、これです。英語版なんですが、部屋を整理しても、身辺整理しても、模様替えしても、断捨離しても、これだけは捨てられずに取ってあります。70年前のものです。
母は英語がすらすら読めるような世代ではないので、これは祖父がくれたものだと思います。母は自分が知っているお話にして話してくれたのでしょう。冷たい冬の夜に、貧しい少女がマッチを売ろうとして、誰も買ってくれなくて石段に座り込む——そのあたりまで話すと、私がしくしく泣き始めるのだそうです。それでも泣きながら「もう一回読んで」とせがむので、母は、泣きたいために頼んでいるような気がした、と笑って話していました。
このマッチ売りの少女とセットで思い出すのが、蓄音機です。昔の蓄音機は大きくて、クリスマスには必ず「森の小人がドンジャラほい」をかけていました。話の内容とはまるで合わないのですが、家族で蓄音機の前を踊りまわっていた記憶と、この絵本がひと続きになっています。

