幸福の王子

オスカー・ワイルド

子どもたちへの読み聞かせ。1990年

一生懸命思い出して浮かんだ本の一つが、オスカー・ワイルドの「幸福の王子」です。なぜか母がこの話を好きで、繰り返し読んでくれました。ツバメが南の国へ旅立たなくてはならないと言うと、王子はもう少しこの町の貧しい人を助けたいと言って、身に貼ってあった金を一枚ずつ剥がし、剣のルビーを外し、最後は自分の眼まで取ってしまう。ただの銅像になったとき、王子は倒れ、ツバメも寒さの中で一緒に昇天する。

それに感化されたのか、小学校で読むことになりました。二年生だったと思います。担任の先生を覚えているので。当時の小学校は1クラス50人以上でしたから、教室のぎりぎりまで座っている前で読んだわけです。そんな小さい頃から声だけは大きかったんでしょうね。母は、どうせ読むならちゃんと読ませたいと思ったらしく、何度も練習させられました。読み終わったあと、同じように感激したという女の子のお母さんが家を訪ねてきて、娘が私も読みたいと言っているので出版社を教えてください、と言われたのを覚えています。

木林文庫チャンネル「記憶に残る絵本」 6:55 / 7:52