ユングがまだ医局に勤め始めて間もない頃、一人の老婦人に会います。70代半ば、何十年も入院したままの人で、通りかかるといつも同じ仕草を繰り返している。食事はうまく食べられずこぼしてしまうのに、その手の動きだけはきっちりパターン化されている。気になって尋ねると、もう何十年も前からだという。
——患者はいつもああしているかどうか尋ねた。そうですよ、と彼女は答えた。だけど私の前任者は、彼女はいつも靴を作っているんだと言っていました。私はそこで彼女の黄色くなった事例集をもう一度調べた。確かにそこには、彼女が靴直しの動作をする癖があるという趣旨の記載があった。昔、靴屋は膝に靴を挟んで、正確にそうした動きをしながら皮を通して糸を引っ張っていたものだった。
——患者が間もなく死んだ後で、彼女の兄が葬式にやってきた。どうしてあなたの妹さんは気が狂ったのですか、と私は彼に尋ねた。彼は、彼女はある靴屋が好きだったが、靴屋は何かの理由で彼女と結婚したがらなかったこと、彼がついに彼女を捨てた時に彼女は発病したことを告げた。靴屋の動作は死ぬまでずっと続いた。彼女の恋人との同一視を示していた。——狂気の愛という言葉がありますが、まさにそれで、とても悲しく、純粋の極みのような話です。
