似たタイトルの本『木の声がきこえる 樹医の診療日記』(山野忠彦著)がある。樹木医の資格認定が始まったのが1991年、それより前の1989年の刊行。
塚本さんの本が2010年だから、こちらの方が二十年程前である。樹医のパイオニア山野氏が全国の神社や寺の古木から個人の庭木まで、診断し治療した木々の蓄積は千本に至る。経験値は宝、立派な数字だ。
類似した症例があるのは稀で、一本一本いつもはじめてなのだ。しかし「悲願の千本目」という数へのこだわりには違和を感じた。みどりの指もつ人が指折り数えるのは変だ。555本の骨を接ぎました、222個の盲腸をとりましたと誇る医師はいないだろう。樹木とて同じこと。
館長のコラム「樹のお医者さん」より