ひとたびはポプラに臥す

宮本輝 講談社 1997

『ひとたびはポプラに臥す』は作家、宮本輝が中国の西安からパキスタンのイスラマバードまでの約七千キロを旅した紀行文。「ポプラは暑さ寒さに強く、旱魃に強いので、ポプラの植樹こそが砂漠の浸食に勝つ方法だという」とあるのを読み、ポプラを札幌やパリにのみ結び付けていた愚かしさに気づかされた。

西暦三五〇年頃、現在の新疆ウイグル自治区にあったキジ国の王家に生まれた鳩摩羅什(くまらじゅう)が若年にして歩いたシルクロードを、自分もまた辿ってみると期してから二十年後に実現したという旅。鳩摩羅什は七歳で出家し、九歳で天竺に留学し、後にサンスクリット語の経典を漢訳した人である。訳といっても、彼にとって漢語は母語ではなかった。過酷な旅と峻烈な一生を踏みしめる旅に華やぎはなく、「元気を取り戻すための木陰として、ポプラ以外に豊かなものは、ほかにそうたくさんあろうとは思えない」と納得するのである。

館長のコラム「私はポプラが好きなのだ」より

この本と結びついている本

七月のポプラ朴喜璡

館長のコラム「私はポプラが好きなのだ」で手元のポプラ本三冊として並べて語られた。

ポプラの秋湯本香樹実

館長のコラム「私はポプラが好きなのだ」で手元のポプラ本三冊として並べて語られた。