ポプラの秋

湯本香樹実 新潮社 1997

『ポプラの秋』は湯本香樹実の小説。少女とお婆さんものとなれば、すべてはお婆さんの造形、存在感にかかってくる。「千と千尋の神隠し」の湯婆婆や『西の魔女が死んだ』(梨木香歩著)のおばあさんのように、それぞれの流儀で少女たちに生きていくためのエクササイズを施すのだ。『ポプラの秋』のお助け婆さんは、ポパイのように顎のしゃくれた取っ付きの恐ろしげな、心優しいポプラ荘の大家さん。

「ポプラの木は、行き場がないなんてことは考えない。今いるところにいるだけだ」。長じてからの主人公のこの感慨はポパイ婆さんのことでもあろう。「私はおばあさんの洗濯石鹸と煎じ薬のにおいのする前掛けを、涙と鼻水と涎で濡らした。どのくらいの間、そうしていただろうか。ようやくおばあさんの膝から顔をあげた私に、おばあさんは栗羊羹を食べさせてくれた」。この二人が黙々と二本もの栗羊羹を平らげるところ、その後のやり取り、ほのぼのとする。

館長のコラム「私はポプラが好きなのだ」より

この本と結びついている本

ひとたびはポプラに臥す宮本輝

館長のコラム「私はポプラが好きなのだ」で手元のポプラ本三冊として並べて語られた。

七月のポプラ朴喜璡

館長のコラム「私はポプラが好きなのだ」で手元のポプラ本三冊として並べて語られた。