スティーヴン・ミルハウザーが三つの中篇小説を収めた本の中で、まさにその名の通り「木に登る王」の話を書いています。主題は「トリスタンとイゾルデ」とアーサー王、ここではマルク王です。「トリスタンとイゾルデ」は不倫の物語とされてオペラにもなっていますが、これは王様の側の嫉妬の膨らみを、王の側近の目で見つめ続けるという設定の話です。王は嫉妬のあまりひどく恐れているのに、逆にその現場をとっ捕まえたい、立ち会いたいという、かなり倒錯した思いに駆られてしまう。そこでわざわざトリスタンとイゾルデをある森の中へ行くように仕向け、側近と一緒に林檎の木の上に登って、上から二人の様子を見てやる。見たくないのに見てやろうという、嫉妬の極みだと思います。
その真っ只中の場面を読んでみます。——妃の足音が聞こえてくると、王の身体が凍りつくのが私にもわかった。「なぜこんなところに来いと言ったのです」と王妃は、私には聞き覚えのない冷たい威厳のある声で言った。私はふと宮廷劇を見ているような奇妙な感覚に襲われた。「助けをお願いするためです。お妃様、敵たちの仕業で、王は私を敵視なさるようになってしまいました。私が王に対して抱いている愛は神がご存じです」。二人の役者は月の下で弁じ立てた。なぜなら私は突然、絶対的に理解したのだ。自分たちが見られているのを、木の上から見られているのを二人が察していることを。私は飛び降りて「お見事トリスタン、名演説」と叫びたいほどだった。——この「私」は一緒に木の上にいる側近です。
この後が恐ろしい場面です。——見れば地面の上、あの影に混じって王の顔の影が見えている。トリスタンはそれに気づいて王妃に合図を送ったに違いない。こうして二人は林檎の木の下でささやかな劇を演じて見せたのだ。——絵としては、地面に王様の影が映っていて、トリスタンとイゾルデがその影のすぐそばに立ち、王様に向かって我々は潔白だと証明しようとしている場面なのです。
木林文庫チャンネル「木の上の物語(前編)」
