伊藤若冲

伊藤若冲

若冲の薔薇が素晴らしい。『薔薇小禽図』、薔薇と——雀ではないと思いますが、なんとなくシジュウカラっぽい鳥。この絵に限らず、若冲の作品を大々的にたくさん観たのはこれが初めてでした。江戸期の絵は、花もどこか幻想的なものになりますね。

これを観てすぐ思い浮かんだのが蕪村の句です。「愁ひつつ岡にのぼれば花いばら」。蕪村は画家でもあったんですね。同時代だとは思っていましたが、生まれ年が一緒なんです、蕪村と若冲は。

若冲は絵を専門にしていたわけではなくて、京都を歩いた時に見ましたが、家は青果商、八百屋さんだったんです。花や植物を自由に扱えて、しっかりした稼ぎがあったから、時間とお金があってゆったりした生活の中で自由に描けた。職人や絵師という感じではないのでしょう。幸せな画家だったんだな、という感じの絵をいっぱい描いています。『牡丹小禽図』は牡丹の中に小鳥がいる。花だけよりいきいきしていて、動きのある鳥がとんと入るだけで違いますね。

木林文庫チャンネル「薔薇の本」 26:55 / 27:27 / 28:00