バオバブの姿は、今ではテグジュペリの絵より、ツアーに誘う夕陽を受けた並木のシルエット写真の方がポピュラーかもしれない。そのバオバブツアーが組まれるマダガスカル島などの話を集めたのが『バオバブのお嫁さま マダガスカルのむかしばなし』(川崎奈月 編訳・絵)。彩色豊かな挿絵が楽しい本だ。
書名の「バオバブのお嫁さま」はマダガスカル島とアフリカ大陸の間に位置するコモロ諸島の話である。昔話はしばしば木に竹を接ぐがごとく、ちぐはぐなパッチワークを思わせることがあるけれど、「バオバブのお嫁さま」も話がすとんと落ちてこない。語りだったら、たぶんそんな風には感じないのだろう。文字読みはときにナンセンスな飛躍を素通りできず、「むかしばなし」に浸れない。よろしくないことだ。で、どこが躓きの石だったか、王様と交渉するオウムか。いずれにしても、理を追ってはダメなのだ。
バオバブにまつわる話では「イブナスゥイヤとジェンベたたきの老人」が面白い。バオバブをツリーハウスにする話だが、巧みな人がこの話を子どもたちにしてあげたら大喝采を取るだろう。
館長のコラム「バオバブは夢の樹」より