12冊
2013年にエクリから出版した本です。ウェールズ・ケルトの伝説の吟遊詩人タリエシンの詩で、六世紀頃、イギリスではアーサー王が活躍したと言われる年代のものです。アーサー王が亡くなったのが532年とか542年と言われていて、タリエシンは円卓の騎士には名前がありませんが、アーサー王に付き従ったと言われています。当時のケルトは文字を持たなかったとされるので、口承叙事詩です。
グアテマラの作家アストゥリアスの伝説集です。「火山の伝説」という話の書き出しがこうです。——六人の男が「樹の国」に住みついた。風に運ばれてきた三人と、川を流れてきた三人である。そのうち姿が見えたのは三人だけで、あとの三人は水のなかに隠れており、風に運ばれてきた男たちが山から水を飲みに降りてきたときにのみ、彼らの姿を見たのである。——「六人の男が樹の国に住みついた」。いい書き出しだと思います。
バオバブの姿は、今ではテグジュペリの絵より、ツアーに誘う夕陽を受けた並木のシルエット写真の方がポピュラーかもしれない。そのバオバブツアーが組まれるマダガスカル島などの話を集めたのが『バオバブのお嫁さま マダガスカルのむかしばなし』(川崎奈月 編訳・絵)。彩色豊かな挿絵が楽しい本だ。
文字通りのタイトル『口をきくカポックの木』(アフリカ民話集)には、口承・語り物の魅力に充ちた話が20篇収められている。表題はセネガル共和国のもので、間抜けで小狡いハイエナ(ブーキー)がウサギ(ルーク)にやりこめられる展開。語りもの特有の繰り返しはあるが、小話としては滅法面白い。
木林文庫にある本です。この中に The Battle of the Trees という言葉が出てきて、それに出会った時、妻と一緒に大喜びして「これはエクリの本だね」と言いました。エクリ『木の戦い』はここから始まっています。
ロシアも森の民ですから、森の悪魔がいます。レーシー——ロシア語で「レース」が森という意味です——は森の妖怪、森の精霊で、両頬が青みがかっている。彼の血が青い色をしているんですね。緑の飛び出した眼と密生した眉毛を持って、緑の長い髭をたくわえて、足は鶏の足のよう。
ジークフリートの元になる話は北欧神話、アイスランド・サガなんだそうです。バイキングの時代ですから、かなり大きい。読みましたが、全部が王位を巡るひとごろしの話で、王が前の王を殺して次々と続く殺戮の歴史です。凄まじい。フランク王国のメロヴィング朝の王朝史も読んだことがありますが、それも次から次へと前の王を殺していく話でした。
円卓の騎士でもう一人有名なのがガウェインで、アーサー王の甥にあたります。物語としては荒唐無稽ですが、『指輪物語』のトールキンがまとめている『ガウェインと緑の騎士』があります。
ケルトのドルイドについては実はあまりよく分かっていないのですが、以前観た映画に『第九軍団の鷲』がありました。原作は少年少女向けの歴史小説を書いているローズマリー・サトクリフです。ローマ軍の五千人ほどの軍団が姿を消してしまうという史実があって、歴史書にも残っているけれど、どこへ行ったか見つからない。サトクリフはこれに物語を付けて、消えた軍団の軍団長だった息子が父の行方を探しに行く設定にしています。
The Battle of the Trees の原典を探していた時に辿り着いた本です。アイルランドには、紀元前15世紀頃に渡ってきたブリテン・アイルランドの祖先が、ある女神に率いられて来たという伝承があって、その女神がホワイトゴッデス、白い女神と呼ばれていたそうです。そのタイトルの本の中に、The Battle of the Trees が全部で96行の詩として書かれています。
柳田国男の『遠野物語拾遺』にある栃の樹の言い伝えは文庫本の一頁に満たないけれど、この話もまた胸ふさがれる「恋歌」だ。
ウェールズの中世の幻想物語です。中野節子先生が訳されていると気づいて、『木の戦い』の翻訳をお願いしにお尋ねしました。井辻朱美さんも英訳からこの物語を訳されていて、そのご縁で『木の戦い』の翻訳をお引き受けいただきました。