椿の本が並ぶ棚
椿の庭

椿の庭

上田義彦 2020

写真家の上田義彦さんが、同名の映画『椿の庭』を撮っていて、その気に入った場面をスチール写真にした写真集です。葉山の、海の見える古い木造家屋に住む女性の話で、まもなくその家を手放すという直前の物語。映画は観ていないのですが、この写真集を見て、観たら素晴らしかっただろうなと思いました。

牛をつないだ椿の木

牛をつないだ椿の木

新美南吉 金の星社 1946

日露戦争・日清戦争のころの話で、まだ田舎では牛や馬を引いて荷物を運んでいた時代です。そこに椿の木があって、牛や馬を繋いでおくと葉を食べられて枯れてしまう。それがもとで木を植え替えるという童話です。読んだあと、これは教科書に採用されて感想文を書かされるんだろうな、と思うような内容でした。

椿の海の記

椿の海の記

石牟礼道子 河出文庫 1976

石牟礼道子さんというと水俣が印象的で、『苦海浄土』の恐ろしい記述が頭に浮かびます。これは彼女がまだ四、五歳の幼女だった頃のことを書いたもので、記憶力がよく、耳もよかったのでしょう、おばさんたちの話を聞いて覚えていたことを書き起こしている。それがすごく美しい。

綿の国星

綿の国星

大島弓子 白泉社

「椿の木の下で」という一編があるので、椿の本に入れました。猫が主人公で、絵としては猫耳をつけた小さな女の子ですが、物語は猫の話です。可愛がられている小さな猫のところへ、主人が捨て猫を拾ってくる。その子がちゃっかりしていて、飼い主が来るとへたっとして「私だめ」という姿を見せ、いないときにはチビにちょっかいを出して虐める。訴えると「あんた嫉妬してるんでしょ」と言われてしまう。巧い描き方です。

椿と花水木

椿と花水木

津本陽 読売新聞社 1994

『椿と花水木』は中浜・ジョン万次郎の伝記小説である。万次郎の生涯を貫く日米の友情と愛の象徴として椿と花水木(ドッグウッド)の二本の花木が上げられており、作者は万次郎に「男の子ならドッグウッド。女の子ならカミーリア(椿)じゃ」と云わせて、こう書いている。「万次郎はアメリカと日本でもっともなつかしい樹の名をひとつずつ告げた」

ツバキ

ツバキ

有岡利幸

「ものと人間の文化史」シリーズの一冊です。椿が日本史の中でどう扱われてきたかを書いていて、木として一番愛されたのは江戸時代だとあります。将軍が椿を好んだので、江戸期にはずいぶんもてはやされた。牡丹などもそうですね。椿全般を知るには非常に役立つ本です。著者の有岡さんは、植物を文化史的な視点でいろいろ書かれている方です。

散り椿

散り椿

葉室麟 角川文庫 2012

葉室麟の小説は割と好きで、全部が時代小説です。名前のとおり生き様が凛としていて、流されない。藩の抗争に巻き込まれるという時代小説のパターンなのですが、その中でも自分を律してどちらにも流されない。

椿宿の辺りに

椿宿の辺りに

梨木香歩 2019

梨木香歩さんは不思議なタイトルを付ける方です。カバーの絵も古代の海幸彦・山幸彦を使っていて、登場人物の名前もそう。いかにも古事記っぽいタイトルなのですが、場所は大和のあたりかと思ったらそうでもなく、シュロの木が生えているような土地を訪ねていく。

その他の椿の本

  • 乙川優三郎椿山文藝春秋 1998
  • 岸田るり子白椿はなぜ散った文藝春秋 2011
  • 宮尾登美子寒椿中央公論社 1977
  • 浅田次郎姫椿文藝春秋 2001
  • 知野みさき落ちぬ椿光文社 2016
  • 平川弥太郎白藪椿文芸社
  • 有岡利幸椿法政大学出版局 2014
  • 澤田ふじ子木戸の椿角川文庫