木

木

木le bois

エルメス財団(編) 講談社 2021

この『木』を作っているのはエルメス財団です。「知ること 作ること」という総タイトルのシリーズで、これが第一冊目。この後に『土』が出ています。原題は le bois、つまり「木」ですね。

幻獣辞典

幻獣辞典

ホルヘ・ルイス・ボルヘス、マルガリータ・ゲレロ 晶文社

南米の作家ボルヘスの『幻獣辞典』は、奇妙な動物ばかりを集めた本です。その中にも、動物界と植物界を融合した生物がいるという話があって、羊の生る木のことが引用されています。

グアテマラ伝説集

グアテマラ伝説集Leyendas de Guatemala

ミゲル・アンヘル・アストゥリアス 1930

グアテマラの作家アストゥリアスの伝説集です。「火山の伝説」という話の書き出しがこうです。——六人の男が「樹の国」に住みついた。風に運ばれてきた三人と、川を流れてきた三人である。そのうち姿が見えたのは三人だけで、あとの三人は水のなかに隠れており、風に運ばれてきた男たちが山から水を飲みに降りてきたときにのみ、彼らの姿を見たのである。——「六人の男が樹の国に住みついた」。いい書き出しだと思います。

木

木

林屋辰三郎 思文閣出版 1994

結構昔から持っている本です。『民衆生活の日本史』というシリーズの中に、五行——木火土金水——の最初の「木(もく)」の巻があったので手に入れたものです。民俗学の方面から木について書いている。私はそういう歴史的な知識があまりないので、面白く読みました。

幻想博物誌

幻想博物誌

澁澤龍彦 河出文庫 1978

東洋には羊の生る木があるという話が大航海時代のヨーロッパに広まって、それはいろいろな所に引用されています。例えば澁澤龍彦。『幻想博物誌』という短編集の中に「スキタイの羊」といって、メロンのような実に羊が生っているという話を書いています。

ケルトの木の知恵

著者不明 2003

木林文庫にある本です。この中に The Battle of the Trees という言葉が出てきて、それに出会った時、妻と一緒に大喜びして「これはエクリの本だね」と言いました。エクリ『木の戦い』はここから始まっています。

森

サルが木から落ちる

サルが木から落ちる

スーザン・E・クインラン さ・え・ら書房 2008

今度は人間ではなく猿です。『サルが木から落ちる』というタイトルで、猿も木から落ちるのもじりかと思ったら、よく読んでみると、熱帯雨林の調査隊がある森に入っていくと、調査の途中で猿が木から何十匹も落ちて死んでしまう。全部の猿が落ちるわけではないのに、何匹も何十匹も落ちる。不思議に思った調査隊が調べてみると、猿たちは木の葉を食べているのですが、同じ木の葉を食べていても落ちない猿もいる。同じ枝から生えている葉でも、アルカロイドの成分が入っている葉を食べた猿は中毒になって落ち、入っていない葉なら大丈夫。猿には判断できないので、分からずに食べたものが落ちてしまう。そこからその葉が薬草として抽出され、アルカロイド系の薬品になるという話です。タイトルは少し刺激的ですが、分かってみると内容も面白い。

グリム童話と森

グリム童話と森

森涼子 築地書館 2016

グリム童話には食料危機の時の話が多いのですが、この本はその後のナチスのところまで、食料危機と結びつけています。

水木しげるの遠野物語

水木しげるの遠野物語

水木しげる 2010

水木しげるが遠野物語を描いていて、いくつものエピソードがあります。その中の、森で不思議に出会う話が気に入っています。ちょうど百話目です。

遠野物語

遠野物語

柳田国男 角川文庫 1910

日本の森の怖い話というと『遠野物語』です。幽霊が出てくるというより、暗い森を歩いているとなんとなくもののけが憑いたような気がする、不思議な目に遭う、というのが中心です。

森のロシア 野のロシア

著者不明

エッセイ『森のロシア 野のロシア』は、ロシアの自然を詠った作家たち8人についての物語である。

林檎

Äpfel fürs Volk

Äpfel fürs Volk

Marina Heilmeyer

ドイツ語の本です。タイトルはうまく発音できないのですが、Äpfel fürs Volk。Äpfel はアップル、fürs は for、Volk はフォルクスワーゲンの「国民」ですから、直訳すれば「国民のための林檎」というような本です。

Le Cidre: Bibliographie exhaustive

Le Cidre: Bibliographie exhaustive

ジャック・ジュベール

『Le Cidre』はパリの書店で見つけたシードルの完本ですが、その前にブルターニュの話から。シードルはブルターニュの名産です。ブルターニュではシードルと、そば粉で作ったガレットを一緒に食べるのがスタイルで、去年フランスに行った時は最初にブルターニュから入りました。泊めていただいたお家では、ブルターニュと言ったらこれでしょうと、シードルとガレットを焼いてくださって。

ルターのリンゴの木

ルターのリンゴの木

著者不明

絵本や童話以外の林檎の本で一番気になったのが、この一冊です。「たとえ明日世界が滅びることを知ったとしても、私は今日林檎の木を植える」——マルチン・ルターの言葉と言われている、有名な言葉ですね。

どんぐり

いのちを守るドングリの森

いのちを守るドングリの森

宮脇昭 集英社新書 2005

ドングリの本はほとんど絵本ですが、いくつか学術的に論じた本があります。その中では宮脇昭先生です。

ドングリと文明

ドングリと文明

著者不明 2008

ドングリの本はほとんど絵本ですが、いくつか学術的にドングリを論じた本があります。その一つが『ドングリと文明』で、ドングリ全般について書いた本です。

薔薇

バラの文化誌

バラの文化誌Rose

キャサリン・ホーウッド 原書房 2018

薔薇は古くから世界中で愛されてきました。ドイツのヒルデスハイムには「千年の薔薇」と言われる、カテドラルに咲いている薔薇があるそうです。千年の薔薇というとちょうど十一世紀くらい、その頃から現代まで咲いているはずなんですね。

オーウェルの薔薇

オーウェルの薔薇Orwell's Roses

レベッカ・ソルニット 2021

薔薇を書いた人の中で、すごく意外だったのがジョージ・オーウェルです。『1984』や『カタロニア讃歌』——スペイン内戦の話ですから、ものすごくラディカルな人でしょう。ラディカルな人が薔薇を育てないわけではないけれど、『オーウェルの薔薇』という本が最近出て、そのタイトルを見た時にすごく意外でした。オーウェルの薔薇? と。レベッカ・ソルニットという人で、これが面白かった。

チェーホフの庭

チェーホフの庭

小林清美 群像社 2004

チェーホフは「私は文学者にならなかったら、園芸家になったような気がします」といつも言っていました。「私の夢は薔薇を植えて、誰にも会わないで、小さな作品を書くことです」と。

椿

椿の海の記

椿の海の記

石牟礼道子 河出文庫 1976

石牟礼道子さんというと水俣が印象的で、『苦海浄土』の恐ろしい記述が頭に浮かびます。これは彼女がまだ四、五歳の幼女だった頃のことを書いたもので、記憶力がよく、耳もよかったのでしょう、おばさんたちの話を聞いて覚えていたことを書き起こしている。それがすごく美しい。

椿と花水木

椿と花水木

津本陽 読売新聞社 1994

『椿と花水木』は中浜・ジョン万次郎の伝記小説である。万次郎の生涯を貫く日米の友情と愛の象徴として椿と花水木(ドッグウッド)の二本の花木が上げられており、作者は万次郎に「男の子ならドッグウッド。女の子ならカミーリア(椿)じゃ」と云わせて、こう書いている。「万次郎はアメリカと日本でもっともなつかしい樹の名をひとつずつ告げた」

ツバキ

ツバキ

有岡利幸

「ものと人間の文化史」シリーズの一冊です。椿が日本史の中でどう扱われてきたかを書いていて、木として一番愛されたのは江戸時代だとあります。将軍が椿を好んだので、江戸期にはずいぶんもてはやされた。牡丹などもそうですね。椿全般を知るには非常に役立つ本です。著者の有岡さんは、植物を文化史的な視点でいろいろ書かれている方です。

そのほか

黒いユーモア選集Anthologie de l'humour noir

アンドレ・ブルトン 1940

アリスに関わる本の中では、まったく毛色の違う一冊があります。アンドレ・ブルトンの『黒いユーモア選集』です。いろんな著作から自分が気になった箇所を抜いた本で、この中にルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』が引用されています。選ばれたのは「海ザリガニのカドリーユ」、ロブスターの踊りです。

ユング自伝

ユング自伝Erinnerungen, Träume, Gedanken

カール・グスタフ・ユング 1962

ユングがまだ医局に勤め始めて間もない頃、一人の老婦人に会います。70代半ば、何十年も入院したままの人で、通りかかるといつも同じ仕草を繰り返している。食事はうまく食べられずこぼしてしまうのに、その手の動きだけはきっちりパターン化されている。気になって尋ねると、もう何十年も前からだという。

カフカとの対話

カフカとの対話Gespräche mit Kafka

グスタフ・ヤノーホ 1951

先日コンピューターのある部屋で本箱を見ていたら、目の前にカフカの本を並べた棚がありました。意外にたくさん持っているんだなと思って、改めて引っ張り出してみたら、これだけありました。多分これで全部だと思います。一番カフカを読んだのは高校から大学の時です。

不思議の国のアリスの誕生

不思議の国のアリスの誕生Lewis Carroll and Alice

ステファニー・ラヴェット・ストッフル 1997

木林文庫にあるアリス関係の本の一冊ですが、著者がアリス協会の人なのでかなり盛っているとは思うのですが、『不思議の国のアリス』は英訳されたものでは聖書とシェークスピアに次いで多い本なんだそうです。盛っているとしても、世界中でかなり読まれていることは確かでしょう。

カフカの恋人ミレナ

カフカの恋人ミレナ

ノイマン

ミレナはカフカの死後も生き延びて、ユダヤ人ではないのですがナチスの強制収容所に入れられます。この本を書いたノイマンも収容所にいて、そこでミレナと出会う。カフカの思い出についても話します。

カフカの夢分析

カフカの夢分析Soixante-cinq rêves de Franz Kafka

フェリックス・ガタリ 2007

カフカの夢というと、そのものずばりのタイトルの本もあって、フェリックス・ガタリが『カフカの夢分析』を書いています。この中で、カフカにおいて夢は覚醒時と睡眠時と区別されるものとみなされている、と。寝ているときとも覚めているときとも違う状況が夢だという。

カフカ

カフカKafka

マルト・ロベール 晶文社 1960

映像学校の先生が薦めてくれたもう一冊が、マルト・ロベールという人のカフカ論でした。全く知らない人でしたが、面白いよと。

明恵 夢を生きる

明恵 夢を生きる

河合隼雄 1987

日本では、先日話した漱石の『夢十夜』がありますが、もっと古い鎌倉時代に明恵というお坊さんが『夢記』という夢日記を書いています。ユングの研究をしていた河合隼雄先生が『明恵 夢を生きる』という本を書いています。

漱石の夢の女

漱石の夢の女

吉田敦彦 青土社 1994

『夢十夜』の「第一夜」に出てくる死んでしまう女性は、文学的にも興味を惹かれる人が多くて、文字通りそれをタイトルにした本もあります。『漱石の夢の女』です。『三四郎』『明暗』『行人』も、女性が不思議な立ち位置にある小説ですが、夢はまた別で、そこに象徴的な意味が現れているだろうという話ですね。

夢十夜を十夜で

夢十夜を十夜で

高山宏 2011

『夢十夜』にはいろんな人が興味を持っていて、関連する本が色々あります。『夢十夜を十夜で』は、大学の講義で十回にわたって『夢十夜』を講じたもので、東大の講義だったと思います。

私の二十世紀書店

私の二十世紀書店

長田弘 1982

カフカに興味を持ち始めたきっかけの一つが、長田弘さんの『私の二十世紀書店』です。二十世紀に出された本について長田さんが論評している本で、その中に『カフカの恋人ミレナ』が取り上げられています。

定家明月記私抄

定家明月記私抄

堀田善衞 新潮社 1986

藤原定家の『明月記』そのものをきっちり読んだわけではなく、堀田善衞が明月記について書いたこの本で知りました。その第一行が、漢文のような書き出しです。——世上乱逆追討耳ニ満ツト雖モ之ヲ注セズ、紅旗征戎吾ガ事ニ非ズ。

暇と退屈の倫理学

國分功一郎 2011

松浦さんは当時の出世コースから外れて山小屋の主人になった人です。訪ねてくる同級生はエリートコースを歩んでいたし、学校の教授になられた方もいる。なぜ山小屋を始めたんだろう、と思います。こういう生き方を見ると、今読んでいる『暇と退屈の倫理学』が身に沁みますね。

別冊現代詩手帖 第二号 ルイス・キャロル

別冊現代詩手帖 第二号 ルイス・キャロル

著者不明 1972

アリス関係の書籍とちょっとした小物を並べています。関連の書籍だけでも十冊以上あって、アリスを改めて読み始めたのは大学を出た後で、結構遅いんです。現代詩手帖のルイス・キャロル特集が1972年に出ていて、この頃また興味を持って読み始めました。集めた本のほとんどはその頃のものです。

BABYLON

BABYLONBABYLON. Entdeckungsbuch

著者不明

バビロニアに非常に興味があったので、ドイツに行く機会があった時——ほとんど滞在時間はなかったのですが——ベルリンの美術館に、ネブカドネザル王が造った巨大な門を見に行きました。左右がレンガで、非常にブルーの美しい門です。見上げるくらい巨大でした。

Coutelas Journal

Coutelas Journal

著者不明 エクリ

悠里が『Coutelas Journal』という本を、全作品集を作る前に作っています。クートラスを知らしめようと、いろんな方に寄稿していただきました。

ヴルーベリの項(ロシアの百科事典)

ヴルーベリの項(ロシアの百科事典)

著者不明

エクリで『デーモン』を出す時にトレチャコフ美術館へ行ったら、研究員の友人が「ヴルーベリならここに全部書いてあるわよ」と言って、美術館の地下の図書コーナーにだーっと並んでいる百科事典の中の、ヴルーベリの項というその巻をくださったんです。

えるふ

えるふ

著者不明

広報誌「えるふ」で、河合隼雄さんと、ファーブルを翻訳されているフランス文学者の奥本大三郎さんに対談していただいたことがあります。名古屋で対談していただいて、帰りの新幹線でお話ししました。

その他の評論の本

  •  ユリイカ 特集=高野文子青土社 2002
  •  現代思想 1987年12月号 特集=カフカ青土社 1987
  • ヴァルター・ベンヤミン文学の危機晶文社
  • エルヴェ・ド・サン=ドニ夢の操縦法Les rêves et les moyens de les diriger国書刊行会 2012
  • カール・グスタフ・ユング哲学の木創元社 2009
  • ガストン・バシュラール水と夢L'Eau et les rêves国文社 1969
  • ジークムント・フロイト夢判断Die Traumdeutung
  • ジル・ドゥルーズ、フェリックス・ガタリカフカKafka: Pour une littérature mineure
  • スーザン・ソンタグアントナン・アルトー論コーベブックス 1976
  • スーザン・ソンタグハノイで考えたことTrip to Hanoi晶文社 1969
  • スーザン・ソンタグ土星の徴しの下にUnder the Sign of Saturn晶文社 1978
  • マイケル・ポーラン欲望の植物誌The Botany of Desire八坂書房 2003
  • モート・ローゼンブラムオリーヴ讃歌Olives
  • ロラン・バルト恋愛のディスクール・断章Fragments d'un discours amoureux
  • 安田登能新潮社
  • 横溝洋柿くへば築地書館 1988
  • 河合隼雄、長田弘子どもの本の森へ岩波書店 1998
  • 会津伸スイスのリンゴ松籟社 1992
  • 小池伸介クマが樹に登ると東海大学出版会 2013
  • 小林智洋世界のふしぎな木の実図鑑創元社 2020
  • 埴谷雄高幻視のなかの政治
  • 森明雄カメルーンの森の語り部平凡社 1992
  • 清和研二樹に聴く築地書館 2019
  • 西郷信綱古代人と夢平凡社 1972
  • 西南学院大学 聖書植物園書籍・出版委員会聖書植物園図鑑丸善プラネット
  • 石川拓治奇跡のリンゴ幻冬舎 2008
  • 多田智満子花の神話学白水社
  • 池田健太郎チェーホフの仕事部屋新潮選書
  • 中川重年木ごころを知るはる書房 1988
  • 長田弘困難な時代の詩人ゴルゴオン社 1971
  • 長田弘、高畠通敏、鶴見俊輔日本人の世界地図潮出版社 1978
  • 長田弘問う力みすず書房 2009
  • 藤元眞紀子りんごりんごネット武蔵野 2004
  • 奈々巻かなこイーフィの植物図鑑秋田書店 2013
  • 白幡洋三郎花見と桜PHP研究所 2000
  • 北嶋廣敏林檎の現象学アディン書房 1982
  • 北嶋廣敏林檎の社会学アディン書房 1983
  • 北嶋廣敏林檎の神話学アディン書房 1981
  • 牧野和春桜伝奇工作舎 1994
  • 澁澤龍彦悪魔のいる文学史