幻獣辞典

ホルヘ・ルイス・ボルヘスマルガリータ・ゲレロ 柳瀬尚紀 晶文社 晶文社クラシックス〈外国文学〉

ボルヘス/マルガリータ・ゲレロ『幻獣辞典』柳瀬尚紀訳(晶文社クラシックス)。帯に「ケンタウロスからチェシャ猫まで」とある

南米の作家ボルヘスの『幻獣辞典』は、奇妙な動物ばかりを集めた本です。その中にも、動物界と植物界を融合した生物がいるという話があって、羊の生る木のことが引用されています。

実際に木に羊が——ヤギかな——生っているように見える木があって、アルガンの木といいます。その実をヤギたちが食べるので、木に登ってしまうんですね。そんなに太くない枝にヤギがいっぱい乗っかって、確かに木にヤギが生っているように見える。それだけを見にツアーが組まれるくらいのもので、写真を見ると、実際に見てみたいなと思うくらい奇妙な図像です。

木林文庫チャンネル「おかしな木」

この本と結びついている本

フィネガンズ・ウェイクジェイムズ・ジョイス

どちらも柳瀬尚紀の訳。『幻獣辞典』は幻の生き物を集めた事典、『フィネガンズ・ウェイク』は訳せないと言われた小説で、同じ訳者の両極にある仕事。

不思議の国のアリスルイス・キャロル

『幻獣辞典』は帯に「ケンタウロスからチェシャ猫まで」とあるとおり、『不思議の国のアリス』のチェシャ猫を架空の動物の一つとして立てている。訳者の柳瀬尚紀はアリスの訳者でもある。

幻想博物誌澁澤龍彦

羊の生る木の話は澁澤龍彦『幻想博物誌』の「スキタイの羊」にあり、ボルヘス『幻獣辞典』はそれを、動物界と植物界を融合した生物として引いている。