変なものの生る木の話で、恐ろしくはないものに「着物のなる木」があります。全集に収められているもので、巌谷小波・久留島武彦・若松賤子という三人のうちの、若松賤子という人が書いています。
若松賤子は生まれが江戸末期で、元治元年——朝廷軍と幕府軍がぶつかった禁門の変のあった年に生まれた人です。明治に入って英語を広めたヘボンという人がいますが、そのヘボンの弟子になって英語を勉強した人でもあります。
その人が童話を書いていて、その一冊が挿絵になっている「着物のなる木」です。小さな女の子がお母さんに前掛けを縫いなさいと言われて、面倒くさいなと思って、「どうせなら前掛けが生る木があればいいのに」と呟く。するとそこへ変なちっちゃな老人が現われて、「そういう木ならあるよ」と言って連れて行かれる。短いけれども、そんな奇妙なお話です。
木林文庫チャンネル「おかしな木」
