薔薇ぐるい

清岡卓行

清岡卓行『薔薇ぐるい』

四月の末に、うちの新しい本の展示をするので白金へ行った時、途中の道に一輪だけ薔薇が咲きかけていました。それを見て、やっぱり薔薇は綺麗だなと。普通の家の垣根で、それも一輪だけ、ちょっとピンクがかった白い薔薇でした。

一輪の薔薇というと、十年くらい前にベルリンの竹谷さんの家に行った時、朝散歩していたら、同じように住宅街に一輪だけ、それも咲こうとしているのがありました。ちょうどこの表現だな、と思ったのが清岡卓行の「開く直前のような」というものです。「生まれたばかりのような、あるいは生まれつつあるような、清楚で素朴な健康の魅惑」。この言葉だな、と。

木林文庫チャンネル「薔薇の本(前編)」 0:11 / 0:35