リラの本は木林文庫に何冊かありますが、その一冊が文字通り『リラの頃、カサブランカへ』。小川国夫の初期も初期で、彼は自分でこの本のことを捨て石だと書いています。習作以前の習作くらいの位置づけらしい。
なぜか帯にカサブランカの文章ではなく、表側は小川国夫が訳したシュペルヴィエルの詩、裏側はロートレアモンが載っている。自分の翻訳を帯に載せるという妙な作りです。
小川国夫は柔らかなタイトルを付けない人です。『試みの岸』『或る聖書』『逸民』『青銅時代』『流域』——みんなかっちりした短いもので、これだけが異質です。捨て石だと冷たい言い方をしているのは、内容的にも分からなくはない。文章もまだ確立されていない。
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