ゴールデンライラック

萩尾望都

萩尾望都『ゴールデンライラック』

恋人たちの逢瀬とライラックの花房が分かちがたく結ばれている作品に、萩尾望都のコミック『ゴールデンライラック』がある。といっても、はじめの出会いはまだ幼い二人だ。

長い長い時を経て成就する想い。私はと云えば、ラブストーリーの傍流に佇む男の思いに寄り添っている。

自分が一番愛している人は、別な人を一番愛しているのを承知で求愛する大富豪。金力で強引にでは、もちろんない。

手元の本は文庫なので絵の駒はとても混みあっているが、映画的と云われる萩尾望都の自在な場面の移り変わりはいつでも狭い格子を越え出ていく。一方、映画でありながら、運びがどこまでもぎこちなかったのが「ラフマニノフ 愛の調べ」。原題は「ライラック」だった。

館長のコラム「宇宙の青で — ライラック」より

ライラックを題にしたコミックが一つだけあります。リラではなくライラックで、萩尾望都さんの『ゴールデンライラック』。絵自体はいかにも少女漫画風で、目の大きな少年少女がライラックの花の中から顔を出して追いかけっこをしている。

最初に見つけた人にキスをするという賭けをして逃げているところに幼馴染が来て、その子にキスしてしまう。その後大きくなってまた結ばれるという、ほんわかと優しい初恋の話です。ライラックのコミックはこれが唯一でしょうか。

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