猫の木のある庭

大濱普美子

『猫の木のある庭』という短編集があります。猫が生まれるという話です。大濱普美子さんという方で、泉鏡花賞を受けています。泉鏡花賞は幻想小説に授けられる賞なので、この短編集もちょっとホラーじみたところがあります。

昭和四十年、五十年ぐらいでしょうか。まだ郊外に家が建ち並んでいない時に、女の人が一人で猫を飼っている。母屋があって、そこから通路でつながった離れを借りることになる。母屋にはおじいさんとおばあさんが住んでいます。

庭に一本、高い木がある。その木を見ておじいさんに「これ、何という名前の木ですか」と訊くと、「これは猫の木です」と言うんですね。びっくりして、猫の木とはどういう意味ですかと訊くと、ここは猫のお墓だったと。自分が飼っていた猫をそこに埋めたと。

——「縦に深く深く穴を掘りましてな。ちょうど猫さんがすっぽりと収まるような筒の形に。この木はそれを肥やしにして、どんどんどんどんとこんなに伸びたとですわ」。私は縁側から猫の木と老夫婦とタマとを交互に見比べ、そして聞いた。その木の下にですか。おばあさんがこう答えます。「はいはい、そうでございますとも。歴代のお猫さんたちは皆ここに」。これから結構怖い話が続きます。

木林文庫チャンネル「「猫の木」コーナー」