僕らが学生の頃——五十数年前、六十年ぐらい前ですが——ドイツ文学のヘッセは割とポピュラーでした。山小屋クヌルプを開いた松浦さんたちの時代はもっと前、戦前ですけれど。特に『車輪の下』は必読書というか、必ず五本の指に入る作家でした。時代が少し下がった我々でも、ヘッセは必ず読んでいた。代表作というと『車輪の下』、それに『デーミアン』ですね。晩年には『庭仕事の愉しみ』や水彩画もあります。ナチスの時代はスイスに亡命していました。出自はユダヤ人ではないけれど、書いたものはリベラルな部分が多いので、ドイツ国内にはいられなかったし、いたくもなかったのでしょう。ノーベル賞を受けたのは戦後です。
木林文庫チャンネル「山で暮らす生き方」