木登り豚

又吉栄喜 カルチュア出版 1996

又吉栄喜著の『木登り豚』は芥川賞受賞作『豚の報い』の原点と位置づけられる作品らしい。創作ノートに記したアイデア・会話・情景を書き改めている途中の第一稿といった印象だが、粗い構成を荒々しく突き抜けて沖縄の光が漲り、白昼夢が炙り出される。

古書店で購入したときから『木登り豚』には煙草の匂いが染みついていて、ふとした拍子に鼻をつき、集中が途切れる。すると、ガジュマルの木にひれふし、登っていく豚どもを今まで見ていたのに気づく。

豚と木は相性が良いのか、他にも豚木本がある。「リンゴ」で挙げた『りんごのきにこぶたがなったら』と『デザイン豚よ木に登れ』。

館長のコラム「木にのぼる」より