ブンナよ、木からおりてこい

水上勉 三蛙書房 1980

カエルも木にのぼる。水上勉の長編童話、『ブンナよ、木からおりてこい』は舞台で上演され、アニメーション映画にもなっているので、物語を知っている人は少なくないかもしれない。私も舞台の録画をテレビで見たのが初めだったように記憶している。

椎の木に登ったトノサマガエルの子ブンナは、喰うもの喰われるものが隣り合わせでせめぎ合う、この世が凝縮したような小宇宙で翻弄される。ブンナは釈迦の弟子の一人の名をとったものだそうだ。生と死の実相を、身をもって学ぶ子蛙にふさわしい名だ。

館長のコラム「木にのぼる」より