おおきな木

シェル・シルヴァスタイン 篠崎書林 1976

『おおきな木』(シルヴァスタイン作・絵)は新訳が出たくらいだから、とても人気がある絵本に違いない。レビューを覗いても「いいね、いいね」と続いている。だが私には後味がよくなかった。手元にある旧訳本には、こうある。

「きはいった  ぼうや わたしのりんごを もぎとって まちで うったら どうだろう。そうすれば おかねも できてたのしくやれるよ」

原題は「The giving tree」まさしく惜しみなく与え続けるのだ。一方、「ぼうや」は惜しみなく奪うだけの身勝手きわまりない男で、『おばけりんご』のワルターさんとは正反対のぼったくり野郎である。ぼうやは大地から収奪を繰り返す人類であり、脛を齧り続けたこの私でもあろうか。

館長のコラム「口をきく木をみつけたら」より