バオバブのきのうえで

アフリカ・マリの昔話

ジェリ・ババ・シソコ  ラミン・ドロ 福音館書店 1996

『バオバブのきのうえで』(ジェリ・ババ・シソコ・語り/ラミン・ドロ・絵)はアフリカ・マリの昔話を絵本にしたものである。絵を描いたラミン・ドロの生まれはドゴン族の祭司だという。ドゴン族といえば、フランスの民族学者マルセル・グリオールがドゴンの賢者の言葉をまとめた『水の神 ドゴン族の神話的世界』がある。水の精霊ノンモのなせる、この世のなりたちが豊饒なイメージで語られていて忘れがたい本だ。

画家ラミン・ドロが使ったのは黒ペンだろうか、単色の線画による絵がとりわけ力を発揮しているのは、旱魃に見舞われた地に雨が降り注いでいる場面である。バオバブの樹上で大空に放たれた嘆きの声。その呪が解かれたとき、空から猛烈な勢いで落ちてくる雨。それは一度森に捨てられた子どもの、非を悔いている村人たちの、そして乾ききった大地の歓びの歌なのだ。

館長のコラム「バオバブは夢の樹」より