僕の夜

Mes Nuits

ロベール・クートラス エクリ

エクリ『ロベール・クートラス作品集 僕の夜 / Mes Nuits』

2010年にエクリで出版した『僕の夜』。これを描いたのがロベール・クートラスというフランスの画家です。

銀座に無境というギャラリーがあって、そこでクートラスの展覧会をやっていると次男の悠里から連絡がありました。是非観に行って欲しいと要請があって、それも最終日だった。今日までと言われて、駆けつける状態で。

初めて観たら衝撃を受けました。これは何だろうと。私は何か宗教的な、イコンのような感じがして。

僕がパッと思ったのはエジプトのコプトでした。目がコプトの絵を思わせるなと思って。もっとたくさん観てみない?と思ったのが最初かな。

『僕の夜』の頁。ボール紙に描かれたカルト

『僕の夜』というのは、クートラスがタロットカードくらいの大きさのカードを、毎晩毎晩、一夜に一枚描くというのを自分で決めていて、それを集めたものです。彼は非常に貧乏だったので画布が買えなかった。

上から見るとそうとは思わないけれど、ボール紙に描かれているんです。裏を見ると分かる。箱の一部を切ったり、ティッシュの箱とか靴箱とか。だから持って見るととても軽いので、びっくりしてしまうくらいです。

こういう作品を、それこそ毎晩毎晩というので五千枚くらい、五千枚以上残したと言われています。

『僕の夜』という題は彼が自分で名付けたのよね。毎晩毎晩だったから「Mes Nuits」、僕の夜なんだけれども。

サンジェルマン・デ・プレのギャラリーで開かれた「Robert Coutelas — Mes Nuits」展
同展の会場。カルトと組のカルトが並ぶ
渋谷区立松濤美術館「夜を包む色彩」の展示風景
松濤美術館展示風景 Photo by Fumihito Katamura

『僕の夜』を出した後、渋谷の松濤美術館で作品を展示してくださることになりました。「夜を包む色彩」という、実に絶妙なタイトルをつけてくださったと思います。

この展示には柚木沙弥郎さんが観に来てくださってね。彼が作っている作品からすれば、クートラスに興味を持つのはそうだろうなと思ったけれど、初めてお会いしてご挨拶もできました。

この時、僕らは運ぶ手段がなくて、車がないから坂を上っていました。いつも二人でキャリーに注文の本と『僕のご先祖さま』も入れて。重かったよね。

重いけど重さが嬉しいねとか言いながら、坂をごろごろ上がっていたんだけれども、それも三日と空けずに、また売り切れましたと言われてね。すごかったよね。四刷、五刷まで行ったのかな。

松濤美術館の展示風景
松濤美術館展示風景 Photo by Fumihito Katamura
松濤美術館の展示風景
松濤美術館展示風景 Photo by Fumihito Katamura

木林文庫チャンネル「一夜に一枚、靴箱に描き続けた画家「ロベール・クートラス」」

去年、仏・英・スイスを一ヶ月かけて回りました。一番びっくりしたのはクートラス展です。僕らは全く知らなくて、真理子さんにフランスに行きますよという話は伝えてあったのですが、会えればねと言っていたら連絡をいただいて。サンジェルマン・デ・プレ、パリの中心地のギャラリーでクートラス展が始まったのよと。

ギャラリーの扉を見てびっくりしました。展覧会のタイトルが「Mes Nuits(僕の夜)」になっていて。まさに『僕の夜』でした。

とてもこじんまりしたギャラリーですが、カルトと組のカルトが綺麗に並んでいて。よく言われるけれども、パリのギャラリーの展示の見事さというのは、すっきりしているし、作家の魅力が一望できるし、一点一点もゆっくり観られる。とても良い展覧会でした。

木林文庫チャンネル「パリで出会った二つの美しい展覧会」

この本は、木林文庫が営む出版社エクリの刊行物です

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この本と結びついている本

僕のご先祖さまロベール・クートラス

同じクートラスのグワッシュを集めた作品集