木の家

北方ロシアは、中世ロシアの伝統を伝える木造建築の宝庫である。『木の家』は、白海を臨むカレリア地方のオネガ湖に浮かぶ、キージという島の、300年前の木造教会や民家を訪ねた写真集である。

ヤマナラシの木を使った一枚40㎝四方、3万枚に及ぶ教会の屋根瓦が銀色に光る。湖面にその容姿を映すアンサンブルは壮観である。

22もの円屋根が幾重にも聳え、天に向かって偉容を誇る姿は、またはるかな地から望む人々を優しく慰める。民家の梁や窓枠、玄関や階段の精緻な木彫も見事だ。「その透かし彫りは木に刻まれたレース編みのよう」で、「樹の国、森の民」であるロシア人の繊細さが心に刻まれる一冊。本書では木とともに生きる森の国、フィンランド、ノルウエーの木造建築も楽しめる。

館長のコラム「ロシアの森② 森は創造の泉」より