処女作『森と水と日の照る夜-北ロシア民俗紀行』(原題「愕かざる鳥たちの国」)を世に送ったことにより、北方は作家、詩人プリーシヴィンの揺籃の地となったのである。
心弾む春の、曙光を反射して光る木々の樹液の滴、湖の結氷の砕ける音、オオライチョウの羽根の色づき具合、白樺の浅い緑の匂い、雪どけ水の小川のささやき。
森の四季折々の、朝焼けから日没までのうつりゆきに、刻々の天候の変容に、胸をときめかす。そして生物気候学者として緻密に観察し、動物や季節すべてを自分と同じ生命として愛おしみ、語りかける。
詩人が描く自然の暦が『ロシアの自然誌』だ。森の住人の呟き、「死にでの準備をするがいい、ライ麦の種を蒔くがいい」これはそのまま、自然と人間の一生に思いを馳せる自然詩人プリーシヴィンの人間観であろう。
館長のコラム「ロシアの森① 自然詩人の豊かな日々」より